アート・オブ・プロジェクトマネジメント

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメントの目次

1章 プロジェクトマネジメントの簡単な歴史(なぜ気にかける必要があるのか)

I部 計画
2章 スケジュールの真実
3章 やるべきことを洗い出す
4章 優れたビジョンを記述する
5章 アイデアの源
6章 アイデアを得た後にすること

II部 スキル
8章 優れた意思決定の行い方
9章 コミュニケーションと人間関係
10章 メンバーの邪魔をしない方法:プロセス、電子メール、打ち合わせ
11章 問題発生時に行うこと

III部 マネジメント
12章 リーダーシップが信頼に基づく理由
13章 ものごとを成し遂げる方法
14章 中盤の戦略
15章 終盤の戦略
16章 社内の力関係と政治

アート・オブ・プロジェクトマネジメントを読んだ感想

過去、様々な立場から多くのプロジェクトに関わってきました。時にテスターであったり、時にプログラマーであったり、何度かプロジェクトマネージャをやらせてもらったこともありました。その経験を踏まえたうえで、本書に記載されている内容を読んだとき、非常に本質的であると感じました。


プロジェクトの流れはまず、企画があがり、スケジュールを組み立て、開発を行い、テストを行い、リリースを行い、最後に振り返りを行うというものになります。


個人的にはプロジェクトはプロジェクトマネージャが関係者との仕様の握り合い、スケジュールの管理、設計への注力、リソースの管理、タスクの進捗管理、リスクを早期に潰す作業をしっかり行っていれば比較的に成功に導かれるのかなと考えています。


本書から学んだ大きなことは社内政治でした。
第16章に「社内の力関係と政治」という項目があります。
「社内政治」には特に興味がなかったのですが、最近社内で社内政治に関していろいろ指摘を受けたこともありしっかり読んでみました。以下の点を学べたことは今後の私自身のプロジェクト進行に大きなメリットになったと確信しています。

  • 人間は政治的動物である
  • 政治とは邪悪で弱虫で自己中心的な人々が利用しようとするものという考えは捨てなければならない
  • 政治とは人や組織を管理するスキルのことである

これを学ぶまでは政治とは「悪」と決め付けていました。
関係者が利益、不利益を理解しあい、「プロジェクトに対して何か文句を言ってくる」といったリスクを回避する術が政治であり、プロジェクト成功に欠かせない戦術であると強く認識することができました。


手段を問わずプロジェクト成功に導ける人間が「すばらしいPM」だと本書のおかげで認識することができました。



アート・オブ・プロジェクトマネジメントから学んだこと

  • 役割分担を行わないままプロジェクトを推進した場合そのプロジェクトは破綻する
    • 役割分担を軽視してプロジェクトを進めれば支持系統、責任範囲が曖昧になりメンバーが効率的に動かなくなる
  • シンプル(見て明確なもの)なことは(行うことが)難しいということ
  • プロジェクトの進行が遅れているからといってあせってはいけない
    • どのようにスケジュールに追いつくのかをしっかりと考えなければいけない
    • 場合によってはプロジェクトのスケジュールに関しては関係者と調整する必要もある
  • スケジュールの3つの目的
    • いつものごとが完了するのかを表す
    • プロジェクトに貢献するすべてのメンバーに対してチーム全体における個人の成果物の位置づけを理解させ、各メンバーの協調を促進させる(マイルストーンがこれにあたる)
    • 進捗を管理し、作業を管理可能な塊に分割するツールをチームに与えるもの
  • 方法論に固執してはいけない
    • 方法論の本質はいい仕事ができるようチームをサポートし、手助けするものでなければならない
  • プロジェクトの初期計画時にフェーズをいくつかに分割するか、各フェーズでどういったことに注力するかを定義するために関係者から情報を収集する必要がある
  • スケジュール作成に潜んでいる問題を洗い出す際に用いるべき質問事項の一覧
    • メンバー全員の病欠や休暇予定がスケジュール上に反映されているか?
    • メンバーはいつでもスケジュールを閲覧でき、定期的に進捗を報告するよう指示されているか?
    • チームはスケジュールを自らのものと感じ、それに全力を傾けようとしていたか?そうでない場合、その理由はなんだったか?スケジュールや必要な作業の定義は、チーム主体で行ったのかそれとも他から手渡されたのか?
    • スケジュール中には、リーダーやマネジメント側による定期的なスケジュール調整や再交渉が組み込まれていたか?
  • リスクの最小化方法とメリットの最大化方法
    • マイルストーンの長さはプロジェクトの不安定さに見合ったものとする
    • 設計に力を注ぐ

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

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